種なしぶどうを作るジベレリン処理の解説や使い方

ジベレリン処理とは

ジベレリン処理とは簡単に説明すると、植物ホルモンの一つであるジベレリンを使用しぶどうの成長を促進して「種入りぶどう」から「種なしぶどう」にするための処理の事です。
皆さんが食べているピオーネやシャインマスカットも、全てジベレリン処理をしたぶどうを食べているんです。

岡山県のピオーネのジベレリン処理はベリーAやデラウェアから栽培技術の応用をし、昭和48〜49年頃から県内で試行され始めました。
もちろん最初から完璧にジベレリン処理を行えた種なしピオーネを作る事は難しく、当初はジベレリン処理の技術が確立していなかった為、果房が大きくなりすぎてしまうような問題がありましたが、年月を重ね試行を繰り返し種なしピオーネは岡山を代表する果物にまで至りました。

ジベレリン処理がもたらす効果や作用

ジベレリン処理を行うと以下のように作用します。

  • 実から種がなくなる。(無種子化)
  • 安定して房に実を付ける(結実、着粒の安定)
  • しっかりと一粒一粒が大きくなる(果粒肥大促進効果)

ジベレリン処理に必要な物

当農園がジベレリン処理に使用した物をおすすめさせて頂きます。

ジベレリン処理に必要な物

ジベレリン処理の方法とタイミング

種なしぶどうを作る上でジベレリン処理は最低でも2回行う必要があります。
1回目と2回目では同じジベレリン処理であっても効果が違い、1回目は実から種を取り除き、2回目は実を大きく成長させる役割があります。

ジベレリン処理中

開花した4日間が適切なジベレリン処理の1回目のタイミングとされています。
ジベレリン液を入れたカップを片手に持ち、もう一方の手で枝を優しく曲げて花穂を浸漬(どぶ漬け)します。
1回目の処理はジベレリン液が乾かない事が重要なので夕方行うこともおすすめです。
当農園は曇りの日にジベレリン処理を行いました!

ジベレリン処理を行ったぶどう

2回目の目安は1回目の処理を行った後、10日〜2週間後に2回目の処理を行います。
2回目の処理も1回目と同じように花穂を浸漬(どぶ漬け)します。
ジベレリン液が果穂に残ってしまうと、ジベレリン焼けの原因となるので枝を優しくゆすってあげ、ジベレリン焼けにならないよう2回目は早く乾燥させる事が大事ですね。

ジベレリン処理を行う場合、いつ行って良い訳でもなく天気が重要になります。
実際にジベレリン処理を行う時期は初夏になりますが、天気が良すぎる日に行ってしまうとジベレリン液に浸けた箇所が日焼けやシミになってしてしまいうので、前日に天気予報をチェックした方が良いですね!

ジベレリン処理を行った、岡山県の種なしぶどうの代表的な品種

黒色系ぶどう

  • ニューピオーネ
  • オーロラブラック
  • 紫苑(しえん)

青色系ぶどう

  • 瀬戸ジャイアンツ
  • シャインマスカット
  • マスカット・オブ・アレキサンドリア
  • 桃太郎ぶどう

まとめ

ジベレリン処理後のぶどう

ジベレリン処理はぶどう以外にもビワ、柿といった果物栽培からトマトやなすなどの野菜栽培まで幅広く農業界で使用されています。

今では当たり前になっている種なしぶどうを代表するピオーネやシャインマスカットですが、実はジベレリン処理を行ったぶどうが、皆さんの食卓に並んでいるんですね。

順調にジベレリン処理を行う事ができたので、どんなピオーネとシャインマスカットが収穫できるか楽しみです!